「台湾出身者の戸籍を中国から台湾に改正しよう」

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 「台湾出身者の戸籍を中国から台湾に改正しよう」というシンポジウムが、9月11日、東京文京区で行われ、50人近くの出席があった。講演会は登壇者が多いため、「リレートーク」というかたちで行われた。

 最初の話は、日本李登輝友の会の事務局長、柚原正敬氏が挨拶。これまでの「台湾正名運動」の経過、そして、日本李登輝友の会のこと、また、それらの運動の中でいかにして「台湾出身者の戸籍問題」を扱うようになったか、などのことが語られた。その後、参議院議員の大江康弘氏からの祝電が披露された。祝電の披露が終わると、台湾出身者の戸籍問題を国会で扱った中津川博郷議員をはじめとして、各々15分ほどの多くの方々のリレートークが始まった。


日本李登輝友の会の事務局長、柚原正敬氏

◆衆議院議員中津川博郷氏
中津川氏は、民主党の内部の問題など、多くのしがらみの中で戸籍問題も扱っていることや、その周辺のあらゆることが語られた。(中津川議員の国会での質問については台湾新聞の記事を参照)


(左)衆議院議員中津川博郷氏 (右)拓殖大学客員教授黄文雄氏

◆拓殖大学客員教授黄文雄氏
まず、中津川氏はじめ、多くの台湾を支援する日本の国会議員を落選させないように、ということが語られた。その後、日本の政府と台湾の政府の特別な関係について、自分の体験から語った。黄氏自身もカナダに送還されそうになったところ、英語がうまくなかった、ということで日本での活動を許された、ということがあったとのこと。自身の国籍問題でもかなり苦労した、などのことを語った。また、国籍の記述の直接・間接的な強制などは日本の憲法に違反することなどを語った。これからのこの運動はこういった「違法であるところを突く」という方法をとるべきだ、と訴えた。また、日本では古くから「台湾」という名前が特に大陸中国の政権から嫌われてきた過去などが語られた。

◆前仙台市長梅原克彦氏
梅原氏は、経産省出身とのことだが、そのときのAPECでの経験談を語り、省内でも「台湾には行きにくい雰囲気があった」ことなどを語った。また、米国に駐在していた当時の自身の経験として、ワシントンでの台湾代表部からの「雙十節」へ招待で行こうとしたとき、外務省の駐在員からストップがかかったことなどもあった、というエピソードを語った。また自身の経験から本件にかかわる法務省というところが非常に固く、かつ特殊な省庁であるところであることなども語り、この現実の中でいかに物事を変えていくか、ということを考えなければならない、ということを語った。


(左)前仙台市長梅原克彦氏 (右)メルマガ「台湾の声」編集長 林建良氏

◆メルマガ「台湾の声」編集長 林建良氏
林氏は台湾人として日本で活動しているが、台湾人の日本人に対する思いは、戦前の日本の統治下から続いている、と言われているが、現在の戦後生まれの反日教育を受けてきた若い人間でもなぜ親日になるのか、という「台湾人の親日の原点」は、「尊敬」であろう、と語った。その尊敬は「日本民族の誠実さ」がそれを産んでいると語った。それでもなお、これだけの誠実な日本人がいながら、なぜこれほどダメな政府がうまれたのか?それが日本人なのか、という疑問を語った。林氏の語りは会場を埋める日本人のすべてに突き刺さったのではないか。

◆公認会計士・猪鼻嘉行氏
猪鼻氏は台湾人を妻に持つ「当事者」として演壇に立った。猪鼻氏の話によれば、外国人登録証の記載問題を終わったとき、今回の「戸籍問題」がでてきた、という経緯があったという。猪鼻氏はこの問題について個人でやっていこうと考え、自身でも役所に電話をしたとのことだが、そこで李登輝友の会の柚原氏と共同でこの問題にかかわることになったという。猪鼻氏はまた、個人の体験として、「亡くなった方をどう見るか」などの人間の核心ともいえるメンタリティについて、台湾人と日本人は非常に似ている、ということを語った。また、現在国会で可決されようとしている「人権侵害救済法」は、この「台湾人戸籍問題」に大きな問題を投げかける、ということもありそうで、扱いは慎重にせざるを得ない、ということもあるのではないか、と語った。また「中国」という呼称そのものに多くの問題が含んでいる、ということを語った。


(左)公認会計士・猪鼻嘉行氏 (右)青森日台交流の会事務局長・出町淑貴さん

◆青森日台交流の会事務局長・出町淑貴さん
もう一人の戸籍問題の「当事者」である出町さん。98年に結婚して青森に住んだ。そのときは「中国」という戸籍の中の表現を見て、役所の窓口でも多くのトラブルがあったという。その後、ネットで色々調べて、この問題が日本で大きな問題となっていたことを知ったという。出町さんは、青森で国際交流の会をやったときなど、大勢の中国人留学生の団体などに嫌がらせを受けていたことなどを語った。重い内容を含んではいるが、語り口が大変に楽しい話で、会場からは笑いも漏れた。運動を楽しくやっている雰囲気がよくわかる、聞いていて温かな気持ちになる話だった。

◆東京都議会議員・小礒明氏
最後に登壇した小磯氏は、都議会議員の立場で「台湾正名運動」に関わったとのこと。氏は、台湾人が東京都に住民登録するとき、台湾出身者でも、「中国」の名前を使わなければならない、ということ、それについて都の行政部とかなりやりあったことなどを語った。現在の「中華民国」国籍の国籍を「中国」と記載する、ということは、昭和39年の法務局長の通達による、ということは本会の活動でも明らかにされたが、都庁の中でもかなりの成果があがりつつあることが語られた。東京都としては、平成20年、都の市町村への通達で「台湾」表記ができるようになったとのこと。最後に小磯氏は東日本大震災への台湾の人たちの援助にお礼を述べた。


東京都議会議員・小礒明氏

 小磯氏の話のあと、「台湾出身者の戸籍を中国から台湾に改正しよう!」の参加者一同、という署名の「決議文」が示され、朗読された。

 最後に、黄文雄氏より閉会の言葉が語られ、日本の行政の台湾人に対する侮辱ともとれる「戸籍問題」「台湾表記問題」を進めていきたい、ということが語られた。

台湾新聞 Business Exchange: 「台湾出身者の戸籍を中国から台湾に改正しよう」
http://taiwannp.mita.minato.tokyo.jp/article.php/20110911141918517