再び変わる?台中関係

 2010年12月31日の産経新聞では、産経新聞・台北市局長の山本勲氏が、ECFA以来の台中関係の問題をとりあげている。同記事は、「21日に台北で開いた第6回交流団体トップ会談(中国「海峡両岸関係協会」、台湾「海峡交流基金会」)は投資保護協定に調印できず、中国が求める文化協定は台湾が議題にさえさせなかった。」という書き出しから始まる。

 2008年の総統選挙で、台湾に馬英九総統が誕生し、政権はふたたび国民党へ渡った。このときから、現在まで馬英九政権は中国との対話路線を中心 に据え、政敵である民進党の明確な「反中国」路線を牽制してきた。特に経済でははっきりと台湾のために中国との融和を図ってきたと言える。

 かつての野党時代に国民党の主席であり、横浜APECでも多くの対話を中国の国家主席である胡錦濤氏とした、と伝えられ、一部では「親中国派の筆頭」とさえ言われている連戦氏についても、12月1日付けの香港メディア『鏡報』では「中国共産党は2013年の全人代で連戦を『国家副主席』に撰ぶシナリオを検討中」と報じている。それほど、台湾と中国は「接近」しつつあった。

 しかしながら、11月末に行われた台湾の五大市長選では、国民党は「やっと勝った」と言える状態だった。台湾の内部では民間レベルでも「中国」に対して微妙な対応をするところも増えているという。

 一方、中国の大陸のほうに目を転じてみると、2009年の中頃から、景気の上昇曲線以上に物価上昇がある、という「スタグフレーション」の危険を、多くの中国の内外のエコノミストが発表しており、多くの国では「中国経済減速か」との観測が言われるようになった。2010年6月には、中国国家発展局がその観測を打ち消す発言をしたが、実際のところ中国の大都市での物価上昇は非常に急であり、完全に楽観できる状態にはないようだ。

 中国経済の減速がもしあるとすると、全輸出額の40%以上を対中輸出に頼り、それによってリーマンショック以降の経済発展を担保してきた台湾経済もそれに引きずられる可能性が無いとは言えない。既に中国の都市部でのホワイトカラーの給与はここ数年、毎年10%近く上昇し、ブルーカラーの給与も2008年から2010年にかけておおよそ倍に跳ね上がっている現状を考えば、台湾としても中国との「関係」を見なおさなければならない時期に来ている、と判断するのは、妥当なことだと言えよう。

 既に中国政府の高官の「中国は世界の工場では無く、世界の市場になりつつある」との発言も、それを裏付けている。

 小さな国で「やがて中国に飲み込まれる」と言われ、日本をはじめとした多くの国から国交を拒絶されていた中華民国・台湾は、その民と政府の自らの力強い叡智で、自らの行政や経済の独立を保ちつつ、この100年の歳月をなんとか踏ん張って生きてきた。その叡智に長けた台湾の民が、大陸の「変調」を素早く嗅ぎとり、行動を起こしたのかも知れない。

 がんばれ、台湾。

 

台湾新聞 Business Exchange: 再び変わる?台中関係
http://taiwannp.mita.minato.tokyo.jp/article.php/20101231194029657