【速報】アジア調査会「ECFAと中国・台湾関係」セミナー

 「台湾を中国進出の中継地として使ってほしい」江啓臣・行政院新聞局長はそう語った。

8月30日、来日している台湾行政院、新聞局長の江啓臣氏、そしてECFAの台湾側の窓口である黄志鴨氏と、三菱商事の小椋和平氏、みずほ総合研究所の伊藤信悟氏が、大手町でECFAに関するセミナーで、台湾経由での日本企業の中国マーケットへの進出を訴えた。また、席には特に挨拶はなかったが、台北駐日経済文化代表処の馮寄台代表の姿をはじめ、代表処の重鎮の姿もあった。

セミナーはアジア調査会の長田氏の司会で始まった。


江氏は、現在の台湾と中国が経済的には密接な関係にあることを述べ、さらにECFA締結が中国進出を目指す日本にとっても、リスクを減らし利益を大きくするものであることを述べた。

黄氏は台湾の内外にECFAという中国との接近ともいえるこの協定締結に反対論もあることを認めながら、それでもECFA締結が台湾やアジア全体に利益がある、ということを強調した。実務者のトップらしい具体的な内容が参考になるお話だった。また、アーリーハーベスト項目もこの2年で随時変わってくるので、現在は一見台湾側が優遇されているように見えても、数年でそれらは平均的なものになってしまう、ということを説明した。

みずほ総研の伊藤氏は台湾関係のセミナーでは非常に有名な方だが、今回は「ECFAの日本企業への影響」について語った。伊藤氏の話では、ECFAは日本企業に多くの影響を与えることになる、という。まず、中国、台湾ともに、日本としては重要な貿易相手国であることをあげた。中国を中心とした対中貿易で考えたとき、台湾と日本の競合はやはりあるものの、日本経済への影響はむしろ好い方向に持っていける、という見解を示した。とくに「部品調達」「アセンブリー」などの「工程間分業」が各国に好い方向での経済効果をもたらすはず、という。ECFAの影響を日本によいものとして持っていくには、これらのマネジメントと国際間アライアンスが非常に重要であることを強調した。世界的に、ネットワーク型の産業の新興も、これらの動きに大きな影響を与えるものと考えられるという。

伊藤氏によれば、産業のネットワーク化が、ECFAという中国と台湾の関係を構築する周辺の環境にも広がり、それが日本企業をよいポジションに引き上げる可能性がある、とのこと。台湾と中国のECFAは、台湾と中国の関係だけではない、世界経済にかかわる多くの影響を周辺諸国にも与え、それが日本にも影響する。

三菱商事の小椋氏は「ECFAの日本企業による活用」という視点からの講演があった。ECFAによって、台湾企業は中国にさらに進出しやすくなる。そのため、日本は台湾と一緒になっての中国市場の開拓が非常にやりやすくなり、リスクも減る。日本企業の中国進出のカギは台湾にあり、ECFAがそれをさらに堅固なものにしている、というのが小椋氏の意見だ。

また、ECFAの中心課題の1つに知財があるが、ECFAとは別に台湾での知財登録がなされたものについては、中国大陸でもその知財権が優先的に設定されるようになるという、知財協定も締結されることが小椋氏から報告された。これから中国という巨大マーケットで知財、コンテンツで生きていくことを考えている日本企業は、特にこの面に大きな関心が出てくることだろう。知財協定の話は、今日のセミナーでの大きな収穫であったといってよい。

休憩をはさんでから、会場からの質問を受け、講演者が解説をする、と言う時間を持った。質問はやはり知財の話がまず行われた。海峡両岸知的財産権協定は、これからの協議となるという。内容は「台湾で登録された台湾企業知財は中国で優先権を持つ」という内容であるという小椋氏からの回答がった。さらに、黄氏もこの件については、文書に銘記されていることを語ったが、専門外であることもあり、条文にそれがあることを確かめるにとどめた。

また、台湾も日本も中国に政治的にも飲みこまれるのではないか、との懸念がある、という質問が会場からあった。しかし、これに答えた江氏は「中国依存は世界的傾向であり、この流れは止まらないと同時に、グローバル化が進んでおり、中国と云えども一国だけで生きていくわけにはいかず、懸念するには当たらないのではないか」という見解を示した。

また、会場からの香港と台湾の知財の扱いについての質問について、小椋氏は「台湾の強さは産業資本」「香港の強さは金融資本」との違いがあることを示し、諸々の事情から日本の特に中小企業は台湾との協業が望ましい、との意見を示した。

同種の日本の企業や団体向けのECFA解説のセミナーは、7月くらいから多く日本で行われるれるようになったが、8月に入って特に日本企業の参加が増え、日本国内でもECFAに多くの関心が集まってきていることがわかる。知名度はまだまだ、というのが一般的な認識だろうと思われるが、特に中国への進出を目指す日本企業の関心がかなり高まっていることを感じる。ECFAをきっかけとして、アジアの経済は確実に変わっていくだろう。これらの詳細、ニュースの詳細な解説は、台湾新聞本紙をご覧いただきたい。

 

台湾新聞 Business Exchange: 【速報】アジア調査会「ECFAと中国・台湾関係」セミナー
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